取り調べ映像 放送するべきか

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 刑事事件の公判で再生された取り調べの録画DVDをNHKの番組に提供した弁護士が大阪地検に懲戒請求された問題に絡み、この映像を流す予定だった「クローズアップ現代」の放送が延期されたままとなっている。NHKは「検察への配慮から延期したのではない」と説明するが、関係者によると、検察の動きを懸念して内部で慎重論が出たという。同じ映像を今後放送するかどうかが注目される。

 映像は4月5日、関西ローカルの情報番組「かんさい熱視線」で「“虚偽自白”取調室で何が」と題し、密室での取り調べの問題を指摘する番組内で放映された。大阪放送局の制作だった。

 複数のNHK関係者によると、ほぼ同内容で4月15日に全国放送の報道番組「クローズアップ現代」でも放送されることが決まり、NHKのホームページに予告も掲載された。

 しかし、制作途中で東京の放送センターも含めて局内で議論となった。番組作りは番組制作部門が担当したが、日ごろ検察の取材をしている報道部門を中心に「映像を再放送すれば、検察による懲戒請求などで弁護士に不利益が及ぶ恐れがある」などの慎重論が出たといい、放送予定の数日前に延期を決定。予告は削除された。

 延期決定は地検が弁護士に接触する前だった。弁護士によると、大阪地検から最初に電話連絡があったのは4月17日。地検は5月23日、この弁護士への懲戒請求を大阪弁護士会に申し立てた。

 NHK大阪放送局広報部は放送延期の理由について、毎日新聞の取材に「内容を深めるため、さらに取材が必要だと判断し、延期した。映像の取り扱いや検察への配慮等から延期したものではない」と文書で回答した。放送の日程は決まっていないという。

 また、NHKの松本正之会長は6日の記者会見で、4月の放送については問題ないとの見解を示したが、今後同じ映像を放送するかどうかは「番組として必要であるとか、目的外使用の禁止を定めた条文の中の要件をクリアできているとか、いくつかの事柄を総合的に勘案して判断する」と述べた。【日下部聡】

 山田健太・専修大教授(言論法)の話 情報提供者に懲罰を求める検察の行為は、憲法が保障する取材の自由への間接的な侵害であり、許されない。一方、NHKによる放送延期は、せっかく情報提供してくれた人の意思に反し、はしごを外す形になりかねない。情報源を孤立させないためにも、可能な限り映像は報道するべきだ。


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