骨太の方針 財政再建が焦点

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 安倍政権は6日示した「骨太の方針」素案で、安倍政権の経済政策アベノミクスによる日本経済再生に向け、「財政健全化への取り組みが極めて重要」と明記、財政健全化をアベノミクスの“第四の矢”と位置づけた。ただ、先進国で最悪の財政を改善する具体策については踏み込み不足の内容だ。政府が8月にまとめる中期財政計画や、来年度予算編成の概算要求基準(シーリング)で、どこまで道筋を示せるかが焦点となる。


 首相は5月28日の経済財政諮問会議で、「経済再生と財政健全化の両立を図ることを明確にしてもらいたい」と指示。これを受けて素案は「経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与する好循環を目指す」とし、成長による税収増などをテコに財政が改善すれば、金利安定を通じて景気回復が進むシナリオを描いた。

 首相が財政健全化堅持の姿勢をアピールするのは、金融市場から「財政規律が緩んでいる」と見られたくないからだ。政府は、骨太の方針に盛り込んだ財政健全化方針を国際公約している。これが揺らげば、日本国債は信認を失って暴落(金利は急騰)し、政府債務の利払いが膨張、財政は破綻しかねない。国債を保有する金融機関や日銀の信用も失われ、金融システムは不安定になる。

 足元では、成長戦略への失望などを背景に株価が急落。内閣府幹部は「政権は株価の動きに神経質になっている。財政健全化に消極姿勢を示して市場に悪影響を与えることを警戒しているようだ」と、“第四の矢”のメッセージを発した経緯を解説した。

 ただ、現状の財政政策の延長では、消費税率を10%に上げても、財政の指標である基礎的財政収支(プライマリーバランス)の2020年度の黒字化を実現できない。目標達成には、一段の歳出削減や増収の具体策が必要だ。

 これに対し素案は、来年度予算編成について「メリハリのついた予算とする」と書いただけ。財務省幹部は「来年度予算は健全化の初年度。いかに歳出抑制をするかがカギになる」と説明するが、歳出削減のキモである社会保障費削減では議論が紛糾する可能性がある上、「国土強靱(きょうじん)化」を旗印とする自民党が、公共事業費削減を容認するかも見通せない。さらに、「機動的な財政政策」を掲げるアベノミクスでは、景気の減速懸念が台頭すれば、歳出圧力も強まる。

 財政健全化の具体的な指針となる中期財政計画と、それを反映した来年度予算のシーリングで、安倍政権がどこまで本気度を見せるか。金融市場も注目している。


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