米横断目指すソーラー飛行機

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 昼夜を問わず飛行可能なソーラー飛行機が、米国時間5月3日、アメリカ横断飛行の第1弾となるフライトを開始した。このミッションの目標は、化石燃料を一滴も使うことなくアメリカ横断に成功した史上初の飛行機となることだ。

「ソーラー・インパルス」という名がつけられたこの飛行機は、太平洋夏時間の3日午前6時(日本時間同日午後10時)過ぎ、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊にあるモフェット飛行場から離陸し、約18時間後に最初の目的地であるアリゾナ州フェニックスの空港に着陸した。飛行時の巡航高度は2万1000フィート(約6400メートル)に達する。

 このアメリカ横断飛行を担うのは、スイス出身の操縦士、ベルトラン・ピカール(BertrandPiccard)氏とアンドレ・ボルシュベルク(AndreBorschberg)氏で、どちらも飛行については豊富な経験を持つ。ピカール氏は世界初の気球による無着陸世界一周を成功させた人物で、一方のボルシュベルク氏もスイス空軍で戦闘機パイロットとして訓練を受けている。ソーラー・インパルスの設計も担当した2人の操縦士は、交代でこのソーラー飛行機を操り、アメリカを横断する予定だ。2人は2015年にソーラー飛行機による世界一周を計画しており、今回のアメリカ横断はそれに先立つウォーミングアップの意味を持つ。

◆バッテリーの重さがネックに

 ソーラー・インパルスは、太陽エネルギーのみを動力とし、化石燃料を全く必要としないため汚染物質を排出しない。その代わり、機体は1万2000枚近い数のソーラーセルで覆われており、これが4つの電気モーターの動力源となる。ソーラーセルで発電された電力は特製のバッテリーに蓄えられ、これにより昼夜を問わずプロペラを回すことができる。バッテリーの重さは約400キロと、機体総重量の25%以上を占める。バッテリーの重さがあるため、機体の他の部分は大幅な重量削減を迫られた。

 今回のアメリカ横断飛行は1カ月以上をかけて行われる予定で、計5回のフライトが計画されている。5月中旬に、ソーラー・インパルスは最初の着陸地であるフェニックスを離陸し、テキサス州ダラスに降り立つ予定だ。さらに5月末にはミズーリ州セントルイスに向かう。4回目のフライトではセントルイスからワシントンD.C.に向かい、最後の目的地であるニューヨーク市に到着するのは6月末か7月になる見込みだ。

 この記念碑的な横断飛行を成功させる以外に、今回のソーラー・インパルスの冒険旅行には、世界中でクリーン技術を促進する「クリーン・ジェネレーション」計画の立ち上げという目的もある。ソーラー・インパルス側の声明によると、この計画は「クリーン技術とエネルギー問題への持続可能な解決策の採用に向けて、政府、企業、意志決定者を後押しする」ものだという。

 ピカール氏とボルシュベルク氏は西から東に向かって飛行し、気流に乗ることで平均速度は40ノット(時速約74キロ)に達する見込みだ。ソーラー・インパルスは超軽量で、総重量は約1600キロと、通常の乗用車とほぼ同じ程度となっている。

◆2015年には世界一周の計画も

 ソーラー・インパルスは2012年5月にスペインとモロッコの間を19時間強で飛行、世界初の太陽エネルギーによる大陸間飛行という快挙を成し遂げている。ピカール氏とボルシュベルク氏は2015年にソーラー飛行機での世界一周を計画しており、そのためにより大きな操縦室を持ち、ほかにもいくつかの改良を加えた2号機の製作を進めている。両氏は20日以内という短期間で世界一周を達成したいとの考えだ。

 2010年には、ソーラー・インパルスは26時間におよぶ昼夜連続飛行を成功させている。

 今回のアメリカ横断飛行は「solarimpulse.com」でストリーミングによる生中継が行われるほか、ツイッターやフェイスブックでも飛行の模様が伝えられる。

KateAndriesforNationalGeographicNews


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