全柔連理事 助成金不正受給か

 全日本柔道連盟(全柔連)の複数の理事が、実際には指導していない選手への強化指導費名目で、日本スポーツ振興センター(JSC)から、数百万円の助成金を受給していた疑いが21日、浮上した。理事らは、四半期(3か月)に1度、義務づけられているJSCへの活動報告書に、実態と違う内容を記載していた可能性もある。指導を受けたとされる選手の中には、「(その理事の)顔も名前も知らない」と話す人もいる。JSCは徹底調査の上、不正受給が明らかになれば、全額返還を求めるという。

 全柔連の松井勲理事は、2010年10月1日からT選手の指導者、11年4月1日からはK選手の指導者として登録され、合計270万円の助成金を受給していた。昨年10月にJSCに提出した活動報告書の担当指導選手の項目には、K選手の氏名を明記。ところが、K選手は松井理事について「顔も名前も知らない」と関係者に話していることが判明した。報告書に記載した合宿、大会などの理事自身の参加実績を疑問視する証言もある。「指導内容」の項目でも「精神面の向上を図り指導した」などと記したが、具体的な指導は行われていないという。

 ロンドン五輪代表選手の指導者として120万円を受給した保坂慶蔵理事は、スポーツ報知の取材に「代表コーチ? ないない、やってない。強化委員会に名前が入っているから、名簿に入っていただけ」と指導実態がなかったことを明かした。田中裕之理事も2選手の指導者として登録され、計210万円を受給も、2選手から指導者として認知されていなかったことが、関係者の話から明らかになった。現在の理事は計25人だが、ほかにも不正受給がなされた可能性もある。

 JSCの担当者は、「助成対象は、選手の身近にいる指導者を想定している。少なくとも、コミュニケーションを取っていることは必要。顔も名前も知らない? それは想定していない」と語った。助成金は国庫からの出資金の運用益と、スポーツ振興くじ(toto)の収益金が充てられている。同担当者は「国費に準じて取り扱われるお金」とし、調査に乗り出す考え。指導者、選手、全柔連、JOCに説明を求め、不正受給の実態が明らかになれば、返還を要求した上で法的な手段も検討する方針だ。

 一方、助成金を受ける指導者は、各競技団体が名簿を作成し、JOC強化本部による審査を受けた後、JSCに推薦されるダブルチェック態勢。だが、JOC強化本部長は今年1月まで全柔連の上村春樹会長(62)が兼務していた。上村会長は13日には「助成名簿の最終承認は私がしていた」と認めていたが、この日は「個人名まではチェックしていなかった。これから調査する」と語った。

 全柔連は昨年10月まで、個人助成を受けた指導者の大半から年間40万円を徴収してプール金を作っていた。だが、保坂理事は「徴収? 私はされていない。連絡もない」と説明。理事職にある指導者からは不正徴収がなかった可能性もある。女子選手への暴力指導、不正プール金などの問題がありながら、18日の理事会は上村会長の続投を全会一致で支持。しかし、複数の理事が不正に金銭を受け取った疑惑浮上という全柔連に、あらためて批判が集まりそうだ。

 ◆今年の全柔連の出来事
 ▽1月29日 ロンドン五輪代表を含む女子15選手が、園田隆二監督らからパワハラや体罰を受けていたことが発覚。
 ▽同31日 全柔連・上村春樹会長がJOC強化本部長職を辞任。
 ▽2月1日 園田監督が辞任を正式表明。
 ▽同4日 15選手が全柔連の指導体制の見直しを求める声明文を発表。
 ▽同5日 前強化委員長で強化担当理事だった吉村和郎氏、徳野和彦コーチが辞任。
 ▽3月14日 スポーツ報知の報道で、強化委員会による一部助成金の不正徴収が発覚。
 ▽同18日 理事会で上村会長らの続投が決定。
 ▽同19日 JOCが13年度の交付金を停止する処分を決定。

 ◆スポーツ振興基金助成 国庫からの出資金(250億円)などの運用益とサッカーくじ「toto」の収益金が財源。選手・指導者スポーツ活動助成は、JOCが認定する各競技の五輪強化選手に個人口座へ直接支給する。エリートA、Bの指導者には年間120万円を支給し、複数の選手を担当しても同額。選手には競技力により3ランクに分けて、年間で各240万円、120万円、60万円を支給。今年度は指導者230人、選手438人に約8億円が助成された。

白鵬 北の湖に並ぶ24度目V

 大相撲春場所13日目は22日、ボディメーカーコロシアムで行われ、横綱・白鵬が北の湖(現日本相撲協会理事長)に並ぶ史上4位多タイの24回目の優勝を飾った。



 2敗で追っていた隠岐の海が栃煌山に送り出しで敗れて3敗目。白鵬は結び前の一番で豪栄道を豪快に上手投げで退けて13戦全勝。13日目での優勝決定は4度目となり、千代の富士(現九重親方)に並んだ。

 勝てば、優勝となる一番でも地元・大阪出身の豪栄道を一蹴。13日目での優勝決定に白鵬は「最高です。自分が勝って決めたいという気持ちがあったので、その通りになってうれしい」と笑顔を見せ、北の湖にの優勝回数に並んだことには「今年のモチベーションとしていた数字。昭和の名横綱に肩を並べられてうれしいです」と誇らしげだった。

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